EPSとDPSの関係を確認する理由
本記事は、公開情報や財務指標をもとに、高配当株を確認する際の観点を整理したものです。
特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
EPSとDPSの関係を確認する理由
こんにちは、配当検収人です。
高配当株を確認するとき、配当利回りや配当性向に目が向きやすいですが、その前提として見ておきたいのが EPSとDPSの関係 です。
EPSは1株あたり利益、DPSは1株あたり配当を表します。
この2つを並べて確認すると、企業が稼いだ利益に対して、どれくらいの配当を出しているのかを把握しやすくなります。
高配当株では、配当額の大きさだけでなく、その配当が利益で支えられているかを確認することが大切です。
この記事では、特定の銘柄の判断ではなく、高配当株を検討する前に確認したいEPSとDPSの基本観点を整理します。
EPSとDPSとは何か
まず、EPSとDPSの意味を整理します。
EPS = Earnings Per Share
= 1株あたり利益
DPS = Dividend Per Share
= 1株あたり配当
EPSは、企業が1株あたりどれだけ利益を出したかを見る指標です。
DPSは、企業が1株あたりどれだけ配当を出したかを見る指標です。
高配当株を確認するときは、この2つを別々に見るのではなく、並べて確認することが重要です。
EPSがDPSを上回っているか
DPSがEPSに対して過大ではないか
EPSが減少している中でDPSだけ維持されていないか
このような観点を見ることで、配当の持続性を確認するための入口になります。
基本は「EPS > DPS」かを確認する
配当の持続性を見るうえで、まず確認したいのは次の関係です。
EPS > DPS
EPSがDPSを上回っている場合、単純に見ると、企業は1株あたり利益の範囲内で配当を出している可能性があります。
たとえば、次のような状態です。
EPS: 200円
DPS: 100円
この場合、1株あたり200円の利益に対して、100円の配当を出していることになります。
もちろん、これだけで配当が安全だと判断できるわけではありません。
ただし、少なくとも利益と配当の関係を見るうえでは、確認しやすい状態です。
一方で、次のような状態には注意が必要です。
EPS: 80円
DPS: 100円
この場合、1株あたり利益よりも配当の方が大きくなっています。
単年度だけであれば特殊要因の可能性もありますが、この状態が続いている場合、配当を利益だけで支えることが難しくなっている可能性があります。
「EPS <= DPS」は確認優先度が高い
EPSがDPSを下回っている場合、すぐに問題と決めつける必要はありません。
ただし、高配当株として見る場合は、確認優先度が高くなります。
EPS <= DPS
この状態では、少なくとも当期利益に対して配当負担が重くなっています。
確認したいのは、次のような点です。
- 一時的な減益によるものか
- 特別損失などの一過性要因があるか
- 来期以降の利益見通しはどうか
- 配当方針に変更がないか
- 過去にも同じ状態が続いていないか
- 配当の原資を何で支えているか
企業によっては、一時的な利益減少があっても、財務余力や利益剰余金を背景に配当を維持することがあります。
しかし、それが長期的に続くかどうかは別問題です。
そのため、EPSとDPSの関係は、配当持続性を確認するための重要なサインとして扱います。
1年分だけでなく複数年で見る
EPSとDPSは、1年分だけでは判断しにくいことがあります。
単年度の利益は、さまざまな要因で大きく変動します。
- 特別利益
- 特別損失
- 税効果
- 減損
- 為替影響
- 原材料価格の変動
- 一時的な需要増減
そのため、単年度だけを見ると、配当の持続性を見誤る可能性があります。
確認したいのは、複数年の推移です。
- EPSは安定しているか
- EPSは増加傾向か、減少傾向か
- DPSは急に増えていないか
- EPSが減っているのにDPSだけ増えていないか
- EPSが不安定な業種ではないか
高配当株では、配当額そのものよりも、配当を支える利益の安定性を見ることが大切です。
EPSが安定しており、DPSが無理のない範囲で推移している場合は、確認しやすい状態です。
一方で、EPSが大きく上下しているのにDPSが高水準で固定されている場合は、配当方針や財務余力を追加で確認したいところです。
配当性向との関係
EPSとDPSの関係は、配当性向ともつながります。
配当性向は、利益のうちどの程度を配当に回しているかを見る指標です。
配当性向 = DPS ÷ EPS × 100
たとえば、EPSが200円、DPSが100円であれば、配当性向は50%です。
EPSが100円、DPSが100円であれば、配当性向は100%です。
EPSが80円、DPSが100円であれば、配当性向は100%を超えます。
配当性向が高いほど、利益に対する配当負担は重くなります。
ただし、配当性向だけを見るのではなく、EPSとDPSの実額もあわせて確認することが大切です。
配当性向については、以下の記事でも整理しています。
EPSが減少しているときの見方
高配当株では、EPSが減少している局面にも注意が必要です。
たとえば、次のような推移があったとします。
年度A: EPS 200円 / DPS 80円
年度B: EPS 180円 / DPS 90円
年度C: EPS 120円 / DPS 100円
この場合、DPSは増えていますが、EPSは減少しています。
表面的には増配に見えますが、利益に対する配当負担は重くなっています。
このようなときは、次の点を確認したいところです。
- EPSの減少は一時的か
- 減益の理由は何か
- 営業利益や営業CFも悪化していないか
- 今後の業績見通しはどうか
- 配当方針に無理がないか
DPSが維持されていること自体は、株主還元姿勢として評価される場合があります。
ただし、EPSが減少している中でDPSを維持している場合、配当負担が年々重くなっている可能性があります。
そのため、配当額だけでなく、利益との関係を見ることが重要です。
DPSが急に増えた場合の確認点
DPSが急に増えている場合も、確認が必要です。
増配そのものは悪いことではありません。
ただし、その増配が継続的な利益成長に基づくものなのか、一時的な要因によるものなのかは整理したいところです。
確認したいのは、次のような点です。
- EPSも同じように増えているか
- 特別配当や記念配当が含まれていないか
- 配当方針が変更されたのか
- 一時的な利益による増配ではないか
- 来期予想配当でも同じ水準が維持されているか
DPSが増えている一方でEPSが伸びていない場合、配当性向は上がります。
その状態が続くと、将来的に配当維持の余地が小さくなる可能性があります。
高配当株では、DPSの増加だけを見るのではなく、EPSとの関係をセットで確認します。
営業キャッシュフローもあわせて見る
EPSは利益を表す指標ですが、配当は現金で支払われます。
そのため、EPSとDPSの関係を確認したうえで、営業キャッシュフローもあわせて確認したいところです。
- EPSは出ているが営業CFが弱い
- 利益はあるが現金化が進んでいない
- 営業CFが複数期で不安定
- フリーキャッシュフローが継続的に弱い
このような状態では、利益と現金の流れに差が出ている可能性があります。
EPSがDPSを上回っていても、営業キャッシュフローが弱ければ、配当の持続性について追加確認が必要です。
反対に、EPSが一時的に落ち込んでいても、営業キャッシュフローが安定している場合は、単年度の数字だけでは見えない部分もあります。
EPSとDPSは重要ですが、それだけで完結させず、現金の流れもあわせて確認することが大切です。
EPSとDPSで確認したいチェックリスト
高配当株を見るときは、EPSとDPSについて次のような点を確認します。
□ EPSがDPSを上回っているか
□ EPSとDPSの複数年推移を確認したか
□ EPSが減少している中でDPSだけ維持されていないか
□ DPSが急に増えていないか
□ 特別配当や記念配当が含まれていないか
□ 配当性向が過度に高くなっていないか
□ 営業CFと配当の関係を確認したか
□ 減益局面で配当方針に変更がないか
□ 一時的な利益や損失に影響されていないか
□ 配当方針に継続性があるか
このチェックリストは、特定の銘柄を判断するための結論ではありません。
あくまで、高配当株を検討する前に確認したい観点の整理です。
まとめ
EPSとDPSの関係は、高配当株の配当持続性を確認するための基本観点です。
配当利回りが高くても、DPSがEPSを上回っている場合や、EPSが減少している中でDPSだけ維持されている場合は、追加で確認したい論点が増えます。
確認したいのは、次のような点です。
- EPSがDPSを上回っているか
- EPSとDPSの推移に無理がないか
- DPSが一時的に増えていないか
- 配当性向が過度に高くなっていないか
- 営業CFも安定しているか
高配当株を見るときは、配当額の大きさだけでなく、その配当を支える利益と現金の流れを確認することが大切です。
配当検収ノートでは、銘柄推奨ではなく、高配当株を見る前に確認したい論点を整理していきます。